Tomo Ando 安藤智

個展「Back to Back / また風景になる」

2025年4月19日(土)~5月1日(木)

noie extent

東京都目黒区八雲1-6-7

11:00〜19:00 / 日曜・最終日 11:00〜17:00

月曜・祝日休み

昨年発表した「輪郭をなぞる」というシリーズをもとに、油絵を描いてみたことが今回の制作のきっかけとなりました。noie extentでは新作の油絵を、newtonでは「輪郭をなぞる」のスケッチをそれぞれ展示します。徒歩1分ほどの距離なので、ぜひ両会場をご覧ください。
 
(会場掲示資料)
安藤智 個展 「Back to Back / また風景になる」
 
なにかを目にしたときに、目が嬉しいとか、目が楽しいという感覚になることがあります。まるで目が感情をもっているような言いまわしなので、その点にはずっと違和感がありますが、いまのところ、これに代わるちょうどいい言葉が見つかりません。
そんな感覚がよぎるときに、目に映るかたちや光の境目などをそっと追いかけて見てみることが、私にとって絵を描くことやスケッチをすることにつながっています。
 
昨年発表した「輪郭をなぞる」というシリーズは、こうして目の前にある風景をスケッチで描きあげたものでしたが、今回はそのスケッチをもとに油絵を描いてみたことが、制作のきっかけとなりました。スケッチをそのまま再現するつもりはなかったけれど、その延長や広がりとして描けるものを探りながら進めるうちに、スケッチをしていたときの風景が、鮮やかに蘇るような感覚になる瞬間がありました。
 
絵を描くことで記憶にとどまるものがありますが、それは次第に曖昧になり、いつのまにか自分の絵で上書きされていたりします。
そんなふうに曖昧になりかけていた記憶が、絵を描いたことで蘇り、もう一度風景として立ち上がってきたことは、「そっちに戻るの??」という小さな驚きと新鮮さを感じる出来事でした。
 
そういえば、前に描いた絵が新しい絵を支えていたり、逆に新しく描いた絵が過去の絵を引き立てているように感じることがあります。今回、自分の描いた絵がまた風景になったと感じたことは、そんな絵と絵のあいだにあるつながりの中でのことだったのかもしれません。
そう思ってみると、なんだか自然なことだと感じられて、もうしばらくはこのまま絵を描いてみようかなと思ったりしています。